tmsgksk / Melodramatic Popular Song Album

ansi003

流浪のトラックメイカーtmsgksk(現在は広島に在住)が端正に磨き上げたファスト風土時代の郊外型シティグルーヴ/AOR。耳をすませば聴こえてくる、全ての独身者のための、夜の音楽。

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1. m.n.m.
2. ksk’s drum lesson
3. steep
4. hazy
5. ksk’s piano lesson
6. dsctc
7. nightspot
8. ksk’s guitar lesson
9. a bient

all tracks by tmsgksk

作者による楽曲解説

作業は夜のほうがはかどる。もっと言えば深夜。往来を車が通り過ぎる音が止み、家人も寝静まり静寂を増すぐらいの真夜中。たとえ科学的な数値などでは同じであると実証されたとしても、昼の静けさと夜のそれでは深さ・質が違う。昼の静けさは身体を休ませるためのものだが、夜の静けさは感覚を研ぎすますためのもの。僕はそう思う。

「夜の音楽」と銘打っておいて何だが、僕自身は所謂「夜遊び」や「夜の生活」とは縁遠い人間である。せいぜい深夜の公園でブランコに乗るぐらい。郊外といえば聞こえの良い山間の町に暮らす今となってはそれすらなかなか叶わない。「夜」のギラギラした側面、それこそが真実の夜の姿という向きもあるだろう。否定はしない。が、縁がないものは表現しようがない。

作為のないものを作り出そうとすることほど滑稽な行為はないのかもしれないが、過剰にドラマチックなものなんて別に欲しくないしなあ。自分が作るものくらいはどこかで自分と地続きであってほしい、そう思うのはそれほど責められることではないはず。

深夜の自室の静寂の深さ、それに気付く瞬間。表したかったのはそういったもの。

———-

2005年くらいから、それまで関わっていたイベントを離れて、ひとり違うところでライブをやるようになってから、作ろうとする曲が変わった。「これは夜(のイメージ)だな」と思う曲がポツポツ出始めてきたのはその頃からで、今回の作品はそういう曲だけをまとめた、ある意味でベスト盤ともいえるものである。「全ての独身者のための、夜の音楽」というのは、まさに言い得て妙。これほどこのアルバムの特性を表している言葉はないと、作った本人としては思う。

1. m.n.m.
最初と最後の曲はこれにする、というのはアルバムに入れる予定の曲が出揃う前の段階ですんなりと決まり、結局最後まで変更がなかった。イメージは揺らぎ、立ちのぼってくるもの。タバコの煙をくゆらす、とか。ぼんやりと形が現れて、はっきりと形になる前に消える。そういう感じ。曲調としては2ステップとかダブステップ。を自分なりに意識してやってみようとしたんだけど、果たしてそのように聴こえるかどうかは甚だ心許ない。タイトルは当初「minamo (=水面)」にしようと思ってたんだけど、同名の曲がわりと多いので変更。

2. ksk’s drum lesson
この曲は、もともと2006年初めのバンド形式でのライブに使うベーシックトラックとして準備していたものの一部で、諸事情によりボツになった音源なのだが、改めて聴いてみたところドラムパターンが今作れと言われてもたぶん出来ないような魅力を放っていたので、これを使わない手はないと思い、曲に仕上げてみることに。順番などは多少差し替えて編集しているが、細かいフレーズなどはほぼ作った当時のまま。タイトルの元ネタはテクノの名曲をジャズアレンジでカバーする某ユニットから。

3. steep
4つ打ちの曲はライブのネタを考える度に作っていたんだけど、これはわりと初期の段階で完成したもの。とあるライブで披露した時に、アンプが飛んで演奏が中断してしまったので完全な形で披露することができず、音源として披露しようと思って温めておいたのだが機会がないままに今に至ることになった…と書くと結構曰くのある音源だな。曲自体は思い入れがあってちゃんとした形で発表したいと考えていたので、今回このような形で披露できたことは満足。タイトルのsteepは「浸る」とか「染まる」という意味。1曲目と地続きの世界観。

4. hazy
今の僕の制作の方向性を決定づけた曲で、今回のアルバムはこれを形にして世に出すために作られたといっても過言ではない。サンプラーで新しく曲を作ろうとした時、フレーズにアサインするネタだけを入れ替えた時に偶然生まれた。元のデータもサンプラーには残ってるはずだが、当時2回やったライブのテイクが一番この曲の本質を表していると思ったので、それを編集して仕上げた。しかし録音状態はあまり良くなかったのでここまで仕上げるのに思わぬ苦労することに…。

5. ksk’s piano lesson
hazyと同時期に出来た曲。ライブでも続けて演奏していた。これも“降りてきた”曲。ピアノとドカドカいってるドラムという組み合わせは好きで何度も使い回しているが、中でもかなり上手くいった一例。2回分のライブテイクを編集して1曲に仕上げている。タイトルは2曲目のドラムレッスンに関連づけて付けた。同名の映画とは関係ない。

6. dsctc
「良い相棒になるはずだ」と思いつつも1年ほど結構な勢いで放ったらかしていたZOOMのドラムマシンSB-246を使ってインチキイタロディスコを作ってみた。使用したのは内蔵音源のみ。パターンの切り替えがかなり細かい単位で出来たので編集は本体のみで済ませ、PC上では切り貼りなどはせずエフェクトをかけるだけにした。ワンコードで押すとクオリティ的に心許ないものになりそうだったので、音程のみを変えたループを3つ、細かく組み合わせて小気味悪く脱臼感溢れる感じにしようと思ったんだが、意外と綺麗にまとまったのは果たして良かったのか悪かったのか…。

7. nightspot
このアルバムのテーマを決定づけた、僕の中では重要な曲。タイトルに「夜」という単語を入れるかどうか最後まで迷ったが、1曲ぐらいそのものズバリなものがあってもいいだろう、ということで。ナイトライフに縁のない僕が考えるギラギラした夜のイメージ。あと今まで作ってきた曲にはないエロさがある。と思うんだが。

8. ksk’s guitar lesson
ギターレッスンと言いつつもどちらが主役だかわからんぐらいドラムが目立っているが、一応ギターをメインにした曲。サンプラーで作ったフレーズをさらにパソコン上で切り貼り再編集している。サンプリングしたドラムのフレーズが変なところで切らざるを得なかったのでいびつなリズムになっているがそれが功を奏し、独特なものを作れたと思う。余談だがとあるライブで披露した時、主催の人にめちゃくちゃウケてたのが嬉しかった。

9. a bient
これは作った当初から「アルバムのラストの曲ってイメージだよな」と思っていた。前文で「ドラマなんていらない!」と言ったが、この曲にはほんの少し、ドラマチックなものを込めている。希望の歌。イメージは夜明け。
ちなみにタイトルはフランス語の別れの挨拶。「じゃあまたね」とかそういう、軽い感じのものだとか。あともうひとつ、何と掛けているかはわかると思うので省略。

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