zine+CDR「華氏マイナス451度」について、おふたりにお話をききました。数回にわたってお送りします。
聞き手:junpq(surround), uccelli(anansi)
直接コンタクトを取ったことのない人が購入してくれてます (yuchihara)
uccelli:
どういう経緯で一緒にやろうということになったのですか?
tmsgksk:
えーと「とびどうぐ」というzineを内原さんが作られて
それを買おうと思ってメールを送ったら共作しようという話に。
yuchihara:
音が欲しかったのです
率直に言うと他人のパワーが欲しかった
uccelli:
他人のパワー。
いい言葉だ
yuchihara:
以前から、kskさんの音楽は楽しみとして聞いていたんですが
それを他の人にも聞かせて魅了したいという気持もあった。
junpq:
それは、ネットで音源にリンクして周りの人に、こういうのあるよ、と言うのとはまた別のかたちで、ということでしょうか
yuchihara:
ですね
zineを買ってくれる人と、ウェブを見ている人たちは微妙に層が違っているような気がします。
もちろんウェブで告知して通販しているわけだけど、それまでネット上で交流したことの無い人からzineの注文が入っています。
本の形にして、それをお金をとって販売すると、そういうのを買う人って、ネットでぼくとかkskさんのサイトを見てる人とはまた別の方面にいる人だという気は強くしています
junpq:
日常的に、kskさんや内原さんとやりとりをしていて、その延長線上で買う、というかたちではない人たち
uccelli:
twitterにいない人とか
yuchihara:
そうですね。半数くらいは知らない人じゃないかな
junpq:
へえ
uccelli:
おもしろいですね
yuchihara:
ネット上で交流があったりよく知っている人は、まあ別にzineを買うまでも無いかってのもありますね。
あと、プライバシーの問題があって、ハンドルネームで交流してる人は、本名とか所在が明らかになることをためらう感じもあるかも。
junpq:
ああ、それは少し思いましたね。一瞬ですけど
tmsgksk:
でも言わないと結構わからないですよね
uccelli:
店で売るというのはそういう意味もあるんだな
yuchihara:
ほんとは販売は完全に切り離して、ぼくらは購入者の個人情報に触れないという売り方のほうがいいかな、とも思うのですが、そうすると受注や決済のコストが大きくなります。
この辺の問題、音楽CDをインディーズでやってる人も似たような感じだと思うのですが
共作の話からずれてしまいましたね
uccelli:
いや、面白いです。
ルームシェアみたいなもんです。今回のは (yuchihara)
yuchihara:
ぼくは最初はコラボっていうよりも独立しておたがい好き勝手に作ったものをくっつけるくらいでいいと 思ってたんだけど
junpq:
受け取り方としては、結構そうだったんですが、自分は
yuchihara:
ああ、そう見えますか
junpq:
今回こうやって自分が、内原さんksk さんの作品を買うことになったということ自体は、お二人が共同されたからこそだと感じていますが、
その写真・印刷物を見、音楽を聴き、ってことに関して は、別々にという感じです
yuchihara:
kskさんは、もっと真剣にぼくの写真とかを見てコラボについて考えてくれていたようで、ぼくもコラボという意識が強まりました
junpq:
おお!
yuchihara:
結果的には、そんなに印象が近いわけで はないかもしれないけど、それはぜんぜんOKで
tmsgksk:
好き勝手に、とは言われたけど、やはりそれでは納得がいかん人もいるだろうということで
junpq:
え、受け手がですか?
tmsgksk:
そうです。
junpq:
ただ、物理的に合わさってるだけじゃん、って?
tmsgksk:
そうそう、コラボ?これで?という
yuchihara:
kskさんの音楽のクオリティは信用しているので、どういうものが出来上がっても、いいものになると思ってたので、ある意味放任
tmsgksk:
ありがとうございます
junpq:
でも、別にコラボって言ってないですよね?そう受け取られることになるのかな、一緒に出すと
yuchihara:
そう、そうなんですよ>コラボとは言っ てない
tmsgksk:
言ってないけど、そう認識する人もいるだろうなと
yuchihara:
でも、コラボといっても、しょせんグラフィックと音楽ですから、どこまでやったらコラボになるのか
逆に安易というかマジでコラボですって銘打ってるような作品、ぼくはうさんくさく感じるけどな。どの辺がコラボなんだみたいな。
むしろ、コラボの不可能性みたいなのを前提に、一個の作品という か商品つくるほうが緊張感あるんじゃないかと思う
tmsgksk:
だから、これに関しては共作(共著)ではなく共同作業なんですよね
yuchihara:
そうですね
ルームシェアみたいなもんです。今回のは。コラボって、なんか家族みたいな共同体みたいな感じがする。そういうのもいいけど
junpq:
ふふ、いいですね、 「ルームシェアみたいなもん」ってたとえ
yuchihara:
ぼくはkskさんとべったりコラボするつもりはないけど、何年もiTunesに入れて聞いてきたんだ。作業のときによくかかってたん だ、と思ってるし、もうその段階でコラボだと思ってる。
tmsgksk:
結局、出来たものは近いかというと遠いんだけど
お互いを意識して作ってきたというのは事実としてあるので
yuchihara:
近くて遠い
tmsgksk:
お互い試作を送りあった段階で了解は取れたかなと
yuchihara:
そうですね
tmsgksk:
あとはまあ相手を信頼して笑
悪いもんにはならないという
実感みたいなのはありましたね
ジャンルが違うのにやってることは近いのかな、と (tmsgksk)
これまで一緒に仕事をしてきた編集者やデザイナーたちの中でも、ここまではっきり意見を言ってくれる人はあまりいませんでした (yuchihara)
yuchihara:
kskさんは、ある意味ぼくの作品を理解してくれてる人だという気持があって、声をかけたというのもあります
uccelli:
そもそも、お二人はどうやって知り合ったんでしょうか
yuchihara:
それ、定かじゃないんですよ
nk-777のサイト※で知り合ったような気がするけど
※nk-777(=中沢一宏氏、内原氏の友人)が自作の音源を不定期にアップしていたサイトがあり、
そのサイトに言及したことが互いを認識したきっかけのひとつだったと思います(ksk)
tmsgksk:
僕も最初のきっかけは覚えてない
junpq:
ここ数年のことですか?それとも、もっとさかのぼる?
tmsgksk:
存在を知ったのはだいぶ前ですね
2004〜5年頃のはてなダイアリーで
yuchihara:
ぼくがtumblrに写真をポストすると、kskさんがよくライク(tumblrの機能で、お気に入りとしてブックマークするようなこと)してくれるんだけど、
むやみにライクしてるんじゃなくてあきらかにある種の方向性をもってライクしてくれてるような感じがしていて、
「あ、この人がビジュアルを見るセンスは自分と近いな」と思っていました。
junpq:
「ぼくの作品を理解してくれてる人だ」という話ですね
yuchihara:
音楽とグラフィックで、ジャンルが違う けどやってることは近いのかな、という共感があります。
junpq:
そういう上での依頼だったと
tmsgksk:
そうですね、アウトプットは違うけど
そこに至るまでに通っている道筋はわりと近いのではないか、という
junpq:
道筋が近いというのは、それぞれのlike(好みの傾向)が形成されるに至った道筋のことですか?
tmsgksk:
いやいや、各々の作品を作る上での道筋、というか手法、ですね
junpq:
ああ、作品制作の手法に関して共通点がある、と
yuchihara:
まーでも、音楽をやっている人とやってない人の決定的な違いや、音に対するきびしさの違いみたいなのはあらためて感じました。
tmsgksk:
それは僕も。画に対する厳しさは差があるなと
yuchihara:
zine本のほうの試作をkskさんに送ってみてもらったんだけど、すごくはっきりと意見を言ってくれて、参考になりました。それで全面的に作り直しました。
junpq:
それは、ビジュアルや本のつくりに関してのつっこみということですか?
yuchihara:
そうです。具体的に。
これまで本や雑誌を作る上で、編集者やデザイナーという人たちと仕事としてかかわったこともあるけど、これだけはっきり言う人はあまりいませんでしたね。
junpq:
ほぉ!
tmsgksk:
…笑
いや、そんなに…でしたかね
junpq:
それは、kskさんの音があがってくる以前の話ですか?
yuchihara:
いや、途中段階だけど、音のほうは聞いていました
本の形にするのって、1枚の絵や写真を作るのとはずいぶん違うと思う (yuchihara)
junpq:
そこらへんの製作プロセスを少し話していただけますか
yuchihara:
一ヶ月というかなりの短期間で制作しました。
コラボレーションというほどには、密接にやり取りをしながら作ったわけではありません。
事前に、お互いの作風をある程度知っていたから、というのもありますが。
今にして思うと、創作というよりは、すでに自分の手元にあるものをお蔵だしする感じもあったかな。
手軽に作れるのがzineの良さだと思っていたので。
junpq:
「とびどうぐ」というzine、は拝見していないんですが、それとの連続性はあるのでしょうか
yuchihara:
モノクロでローファイな写真というテー マは連続性あると思います
「とびどうぐ」を作ってみて、やっぱzineだけだとさびしい感じがしたな。もっと明るいきらめいた音みたいな何かが欲しかった。
junpq:
気になるはなしです
冒頭に出てきた「他人のパワーがほしかった」ってあたりですよね
yuchihara:
他人の力の助けがあると、けっこうわがままに自分の世界を遠慮なく出せるってところもありますよね。
ビジュアルのほうが、とことんダークでローファイでも、音による救いがあれば徹底できるような・・・
uccelli:
確かに
yuchihara:
kskさんの音楽は明るいだけとはいえないけど
明るいけど、なんかコクっていうか味わいがあるんですよね。
tmsgksk:
根が暗いので…振り絞ってる明るさというか
uccelli:
でも「とびどうぐ」にくらべるとだいぶファニーって言うか
yuchihara:
そうですね。
ファニーになったのは、やっぱりコラボというか、kskさんの意見の影響大きいと思います。
junpq:
kskさんは、どういう意見を言われたんでしょうか?
tmsgksk:
個々の写真の良し悪しはもちろんわからないですが、流れというかリズムの悪さ、というと失礼だけど
試作の段階だと構成的に何となく歯切れの悪さを感じたのでその旨を伝えました
yuchihara:
もっとボリュームがあっていい、一枚の写真を元に複数の画像に切り出したような、その反復があっていい、というようなことを言われて、たしかにそのほうがいいな、と思いました。
今、思うとそれって音楽的というか音楽に近づくことになったと思う
流れ、リズム、もその通りですね
tmsgksk:
そうそう、だから結局、反復は採用されなかったのは、音楽に近付き過ぎるからでしょうか
yuchihara:
反復か・・・それも試してみたけど、いろいろ難しいんで結果的にあまりそうはならなかった
tmsgksk:
その辺はやっぱり素人考えなのでヒントは出せても解答は出せない
yuchihara:
いや、そういう意味ではぼくも本作りの 素人ですから。本の形にするのって、1枚の絵や写真を作 るのとはずいぶん違うと思う。
(つづく…)







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